新・花鳥風月

@mitchan5のブログです。

つづき3(これでおわりです)

ようやくこれで終わりです



「北西から新たな編隊接近します!」宮脇が怒鳴る。
「一六式艦偵を攻撃した部隊でしょう」中田が西田に語りかけた。
「第二、第三攻撃飛行中隊で先制攻撃しますか?準備は出来ています。」
「いや、まだ艦隊を攻撃してきてはいない。もうしばらく様子を見よう」ようやく西田も
冷静さを取り戻してきた。

永友隊がGF-1のを目視確認できる上空にさしかかった。
「見慣れない船だな?直掩機を発艦させようとしているのか?」

すでに辺りでは米海軍機がバタバタと撃ち落とされている。

「米軍機と戦っているのか?」永友は目を疑った。みるみる近づいていく光景には、
対空砲に撃ち落とされていく米軍機が映っていた。
ちょうどそのとき、目の前をワイルドキャットに十五ミリ弾を撃ち込もうとしている次田の
一〇式が横切った。

「ひ、日の丸!!」

次田の一〇式の機体側面に大きく書かれた日の丸を見て、あわてて永友は操縦桿を引き、
左に急旋回した。

「隊長!どうしたんですか!」そのまま直進しながら、三番機の<445>が訊いた。
直後、<445>機は秋月の放った三十ミリ弾によって、右主翼をもぎ取られた。枯れ葉が舞い落ちる
ようにひらひら回転しながら落ちてゆく。そこにさらに三十ミリ弾が命中した。
<445>機は木っ端微塵に砕け散った。

「帝国海軍にあんな船があったのか?」永友は驚きで頭の中が真っ白になった。
イージス艦秋月の船尾には日照旭日旗がはためいている。

「味方なのか?」

すぐさま永友は
「全部隊に告ぐ。我々は一旦当海域から離脱する進路三〇五」そう部隊に告げると、暗号電文でなく
平文電信で艦隊に緊急連絡した。

「長官、永友隊から緊急入電です!目標艦隊は日の丸を掲げ、米海軍機と交戦状態にあり。
至急指示を請う」

「なんだと!ミッドウェー攻略部隊と間違えたのか!」南雲は、本来ならばもっと北方にいるべき
帝国第一艦隊と誤認して攻撃部隊を向かわてしまったのかと思ったのだった。

「いえ、第一艦隊ではありません。第一艦隊はすでにミッドウェーに攻撃を開始しております」

「むむ...」

「我々にも知らされなかった別の艦隊でもあったのでしょうか?」今回の作戦の総指揮はこの機動部隊であるはずだった。

「ひとまず永友隊にはミッドウェーに向かわせよ。その艦隊には第二次攻撃隊を雷装させ、向かわせる。
永友機はすぐに帰艦するよう伝えよ!」

「はっ!」草鹿は敬礼すると通信員に指示した。




「北西から来た新手の編隊はミッドウェー方面に撤退していきます!」レーダー画面を見ながら
宮脇が告げる。

「やっとわかったのか!こんな旧式の武器じゃ我々に太刀打ちできないっていうことが!」藤田が
つぶやく。米海軍機の攻撃部隊は、その八十五パーセントを失って、永友隊の後を追うように
ミッドウェー方面に撤退していった。

「戦果を報告します。敵航空機、二百七十六機撃墜、命中率九十七.六パーセント、味方損害
一〇式一機、霧島中破、白雪大破、死者七名、不明者一名、負傷者二十二名。」
ようやく落ち着きを取り戻したオペレーションルームで中田が西田に報告した。

「死者七名か...」西田がうなだれた。

「白雪では重傷者が多く、さらに死者が増える可能性があります」重苦しい空気が一同を包んだ。




「な、なんだと!」空母サラトガのブリッジでハルゼーは気を失いかけた。

「き、帰還した攻撃隊は七機です。」<XXX>が改めて報告する。攻撃隊はGF-1との戦闘の後、
母艦に戻る途中で永友隊の護衛部隊の〇戦に追い打ちをかけられ、ほぼ全滅したのだった。

「三二〇機のうち七機か?」消え入るような声でハルゼーはつぶやいた。

「ミッドウェー基地の航空部隊もほぼ壊滅です。残りの航空機がない以上、一旦ハワイに帰還ましょう」
ハルゼーの額から脂汗が流れ落ちた。握りしめた拳は小刻みに震えている。

「なぜだ...」




「永友長大大尉帰艦しました!」赤城の艦橋に永友が現れた。

「どういうことなんだ?本当に帝国海軍の艦隊だったのか?」草鹿が尋ねる。

「はっ!日の丸を掲げ、米軍機と交戦しておりました!」

「本当か?」南雲も念を押す。

「では暗号電文を送ってみますか?」草鹿が提案する。

「よし。私の名前で送れ!」南雲が了承した。





「艦長。先ほどの周波数でまた電信が受信できました、XEVIOUSで解読したらこんな内容に
なるのですが...」
宮脇は小声で中田に告げ、紙片を手渡した。

「この緯度と経度は、我々を指し示しているのではないでしょうか?」宮脇が付け加える。

「長官!このような電信を受信しました」中田は西田に歩み寄り、紙片を手渡した。
しばらく考えていた西田は

「みんなに読んでやってくれ」と紙片を中田に返した。
「はっ。では読み上げます」
「本官は大日本帝国海軍第一艦隊機動部隊司令長官の南雲忠一中将である。我々は現在
ロ一号作戦を決行中である。貴艦隊の本作戦参戦の計画はない。貴艦の所属と司令長官の名
を至急連絡されたし。以上。」

「水上レーダーに艦船らしき反応有り!」藤田が叫ぶ。

「この電文を送ってきた相手でしょうか?」中田が訊く。

「〇六式対艦ミサイル、ロックオンしました」高丸が叫びながら、手元の発射ボタンのカバーを外した。

「発射は待て!みんなどう思うか?」西田は妙に冷静な表情で一同を見回した。

「とにかく何か返信した方が良さそうですね」中田は、答え、草案を書きだした。

「長官、暗号電文表には海将補という言葉がないのですが、どうしましょう?」中田が尋ねる。

「准将でいい」

「はい。では准将で送ります。」中田は西田に読み聞かせ、了承を得ると、通信室に行き
テレタイプを使って擬似的に電信を送った。電鍵は装備していないのである。





この後ハワイを攻略し、アメリカ西海岸に上陸した帝國軍は最後ワシントンD.C.の包囲戦
をし、最終講和条約締結になりました。と言う風に構想が出来ていました(笑)
書いていくうちに「燃料や弾薬はどうやって補給するのか?」などいろいろ行き詰まるだろうなと
予想していましたが、「所詮ゲームだから何でもあり」的な意見で押し切りました。