新・花鳥風月

@mitchan5のブログです。

つづき2(スルー推奨)

いったい何文字あったんだろう?まだおわりません(笑)



「航行を停止しているぞ!」

ハルゼー揮下<AAA>が操るヘルダイバーが、水平線上に白雪を発見した。

「あんな雑魚じゃなくて大物をしとめてやる!」
パールハーバーに奇襲があったあの日、彼は艦隊とともにハワイ北西海上にいた。
親友であり、幼なじみであり、また彼の命を支える航空整備士だった<BBB>を基地に残したまま..

「<BBB>、仇は俺がとってやる」

<AAA>は高度を上げ、白雪の上空を通過した。

「アイガット!」

霧島を発見した<AAA>はさらに高度を上げ、五〇〇ポンド爆弾の安全装置を外すよう
射撃手の<CCC>に指示した。

「対空砲火がないぞ!」<AAA>がにやりと笑う。

「ふるえてションベンちびってんじゃねぇのか?」照準機に顔を当てたまま<CCC>が答えた。
ヘルダイバーは四十五度で急降下していく。

「まだまだ...」<CCC>がよだれをすすりながらつぶやく。
対空砲火はまだ無い。

「テン、ナイン、エイト...」
<CCC>がカウントダウンを始める。

「ゼロ!」
かけ声に合わせて投下レバーを引いた。機体が急にふわっと持ち上がる感覚が二人を包んだ。
500ポンド爆弾は霧島の甲板めがけて一直線で落ちてゆく。<AAA>のヘルダイバーは、一瞬
機銃掃射を加えて反転急上昇した。

「ズーンッ!!」低い腹に響く衝撃音が<AAA>を襲った。

「やったぞ」後ろを振り返りながら<AAA>が叫ぶ。

霧島は前方左舷甲板に直撃弾を受け、炎上しながら回避運動に入りかけていた。

「もろい船だぜ...」<AAA>はあまりにも薄い装甲甲板にあきれていた。
「鉄がもうないのさ」<CCC>がバカ笑いする。

ミサイル戦である現代戦では、装甲など何も役に立たないのである。むしろ重い装甲は機動力を
奪いミサイルのいい餌食となるのだ。
戦艦大和とて、〇六式対艦ミサイルを三発も食らえば轟沈するだろう。

<AAA>に続けとばかりに、四機のドーントレスが一直線に並び攻撃態勢をとっていた。しかし

「バババ..」

霧島の艦橋横に装備された三〇ミリバルカンファランクスが1、2秒、火を噴いたかと思うと、
四機のドーントレスは粉々に砕け散った。

「えっ!」<CCC>は失禁して倒れ込んだ。

「今のはなんだ!やられたのか?」<AAA>は呆気にとられた。

霧島を始め、GF-1の各艦に装備されている三〇ミリバルカンファランクスは毎分千八百発の
三十ミリ弾をはじき出す。しかも、高性能対空レーダー及びXEVIOUS-3の射撃統制機能により
高精度、高能率に目標を撃破することが出来る。
各艦に最適な目標を計算し、1ミリ秒単位で制御して射撃を行う。
そもそもマッハ五の対艦ミサイルを撃ち落とすために開発されているので、時速600Km程度の
航空機など、止まった的を撃つようなものである。
「すげー腕してやがる!」<AAA>は、人間業と思えない正確無比な射撃に呆然とした。




「長官!敵機動部隊を発見しました!やはりこの辺りに潜んでいたんです!」草鹿が南雲に報告した。

「なにっ!機動部隊だと!」予想外の報告に南雲は狼狽の色を隠せなかった。

「はい。索敵機のうち一機が本艦隊の南南東の方角距離三百二十海里の海上に敵機動部隊と
思われる、大艦隊を発見した模様です。空母二、重巡三、駆逐艦七です!」

「空母が二か...少ないな。まだ他にいる可能性もある。」

「現在出撃中のミッドウェー攻撃隊を向かわせましょう!」

「いや二次攻撃隊を雷装に装換させ向かわせよ!」

「しかし時間がかかりすぎます!先に攻撃を受ければひとたまりもない!」

「うーん...」

史実ではここで雷装をしている間にハルゼー騎下の空撃部隊に連合艦隊機動部隊は
完膚無きまでにたたきのめされるのであった。
換装中の艦攻に誘爆が起き、すべての空母を失ったのだ。

「三百海里か...近いな。よし永友隊に向かわせよう!」

暗号電文が赤城から発せられた。受信した永友は三回翼をバンクさせて進路を南にとった。

「いくら撃ち落としてもキリがないぞ!」高丸が叫ぶ。霧島以外はほとんど損害を受けていなかったが
撃っても撃ってもわいてくる米軍機に恐怖感すら感じられた。戦果ディスプレイには各艦の
攻撃目標数、撃破数が表示されているが、あっという間に合計数が百を超えた。
まだ開戦後数分しかたっていない。

「何を考えてるんだ!あんな旧式の武器で我々を沈めようというのか!もうやめろ!」藤田がつぶやく。

「一〇式を発艦させますか」呆然としている西田に中田が聞いた。

「えっ?」

「一〇式を発艦させて、防空体制をとりますか?」宥めるように中田が問いただす。

「あ、ああそうだな」聞くなり、中田はトーキーを取りハンガーデッキにつないだ。




「はい。わかりました」トーキーを置くと次田は部下の第二航空隊の五人の前に向き直った。

「今より発艦し、艦隊防空任務に就く。これは演習ではない。いきなり実戦だが訓練の成果を見せようじゃないか」

「はっ!」互いに敬礼し、面々は散らばり、自機のコックピットに飛び乗った。
ハンガーデッキから飛行甲板へと上るエレベータの中で、次田は何が起こっているのか考えていた。

「フォックスワン、発艦する!」親指を立て、次田はクルーに合図をした。超伝導カタパルトが
機体を引っ張り5Gを受けながら一〇式が滑っていく。
機体は甲板の端で一旦沈み、三〇度の急角度で上昇した。続いて福田も後を追う。

「フォックスワンから各機へ。相手は性能の低い旧式レシプロ機だ。だが侮ってはならない。
戦いぶりからすると相当の手練れだ。発熱量が小さいためミサイルは不正確だ。
十五ミリ機関砲を使え。フォーメーションガンマだ」
一度雁型のフォーメーションをとった後、第二航空隊はパッと散開し、それぞれの目標に向かった。

「なんだあれは!プロペラが付いてないぞ!」<HHH>が無線で叫んだ。

ナチスじゃあそういう戦闘機があるって話だが...」目の前を横切った一〇式を見て<EEE>が答えた。

「すげー速い!」<GGG>は左下を飛行していた<FFF>のワイルドキャットを追い越しざまに
火だるまにした一〇式に目が釘付けとなっていた。

「<FFF>がやられた!旋回しろ!」<EEE>の小隊は降下しながら右に旋回した。

「うわぁぁ...」

「おい<GGG>どうした!」

「火が、火が...」<GGG>の機体は前部のエンジンを十五ミリ砲に撃ち抜かれ、炎上していた。

「ジ、ジーザス!」直後に<GGG>の機体は粉々に砕け散った。

「第一目標撃破!第二目標に向かう」福田はそう告げると<HHH>のワイルドキャットに向かった。
「死んだ、のか?」福田は初めて犯した殺人に、現実感がなかった。彼は、一〇式の
制御コンピュータKV-220の指示の通り、機体を飛ばし、KV-220の指示通り、機関砲の
トリガーを引いただけだった。

「くそっ!」ほんの数秒の内に味方を三機も失った<EEE>は、恐怖感より怒りに震えていた。

「ワイルドキャットを見くびるなよ!」<EEE>は操縦桿を引き急上昇をした。
ほぼ九〇度の角度で上昇した後、エンジンを切り、反転真っ逆さまに降下していく。
再びエンジンを始動させぐんぐん加速する。目前に<HHH>を追う一〇式が見えた。
同時にほぼ真上から一〇式に十二.七ミリ機銃を浴びせた。
一〇式の右後方を通り過ぎた後、操縦桿を力一杯引き、水平飛行に戻そうとした。
海面がどんどん迫ってくる。後二〇〇mというところでエレベータが利き始め
海面上五mで水平飛行に戻った。

「おいフォックスツーどうした?」次田は空域から離れていく福田に問いかけた。

「おいフォックスツー!福田!福田!」

一〇式福田機のコックピットでは、脳天から背中に一二.七ミリ機銃弾が貫通した福田の亡骸が
力無く横たわっていた。
通常の戦闘では十五ミリ弾でもはじき飛ばす防弾ガラスのキャノピーであったが、九〇度近い角度で、さらに急降下の勢いの付いた十二.七ミリ弾には勝てなかった。
主を失った一〇式は次第に高度を下げていく。
「PULL UP!PULL UP!」高度警報器が空しく響くコックピット内に聞くものはいなかった。
福田機は被弾した地点から十七キロ離れた海面に激突し粉々に砕け散った。




「アルファ・ワン発艦ます。」光久一広二等海佐の一四式艦上戦闘攻撃機がカタパルトから射出された。
飛行甲板中央付近を通過すると、ブースターが作動し、カタパルトのフックより先に機体が飛び出した。
そのままV-STOL機のように、四十度の急角度で上昇する。
一六式艦偵松葉機からの救援要請に応え、第一攻撃飛行中隊三機が救援に向かったのである。

一四式艦上戦闘攻撃機は二〇〇七年から開発が始まった。自衛空母構想が発表される
一年前である。米海軍のF/A-18ホーネットの改良機種として日本国内で生産され、EU諸国に
輸出される予定であった。しかし、日米安保の解消問題が浮上するに従い、NATO軍への輸出が
規制されたため、一年間開発が頓挫した。
その後、自衛空母構想が持ち上がり、その艦載用の攻撃機として開発が再開された。そのため、
当初採用予定であったロールスロイス製のジェットエンジンから、石川島播磨重工製の
ハイブリッドジェットエンジンRX302に換装された。
RX302は通常のジェットエンジンと、石川島播磨が手がけて成功を収めた国産ロケットH-Ⅳの
液体ブースターロケットとの複合型エンジンで、大気圏離脱が出来るほどの高出力状態を
約十五分間維持できる。アフターバーナーの数倍の推力である。

「アルファ・ワンから各機へ、ブラボー・ワンからの連絡によると敵は三機の旧日本軍の
ゼロ戦ということだ。今、我が艦隊を攻撃している旧米海軍機と同じ敵かどうかはわからないが、
注意して作戦行動をとれ。ブラボー・ワンは攻撃を受けている。よって、威嚇射撃無しに、
エンゲージと同時に三十ミリ機関砲で攻撃する。以上」

「了解!」三機はブースターを再始動させ、マッハ3で松葉機の元へ急いだ。

「おい!辻!死ぬんじゃねーぞ!光久が助けに来てくれるからな!」松葉は必死に操縦桿を操作し、
高度を上げ、〇戦の攻撃をかわしながら、動かなくなった辻に声をかけた。
「畜生!何で俺たちがこんな目に遭わなきゃなんねぇんだよ!」三機の〇戦は弄ぶかのように
艦偵を追いかけている。
永友隊の<444>が速度を上げ、松葉機の後上方から一二.七ミリ機銃を浴びせようとした瞬間、
正面に小さな銀色の点が現れた。それはみるみる近づき、約三秒後にパパッと閃光を放った。

「!!」光久の一四式が放った三〇ミリ機関砲弾は<444>機のキャノピーと、<444>の首から
上を吹き飛ばした。残り二機も本隊に連絡する間もなく、それぞれの一四式に撃墜された。

「おい!松葉!大丈夫か!」光久は問いかけた。しかし松葉は返事をすることも出来ず、ただ
ガタガタと震えていた。